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その美しい顔に今
吹きすさぶような怒気を浮かべ、爽は藤谷を睨む。
藤谷は貴子同様、一瞬驚いた様子を見せたが
すぐににっこりと微笑み、両手を上げて見せる。
「これは・・・、これは・・・。」
藤谷が何を言うか恐ろし過ぎて、貴子は青ざめていく。
貴子は震える手で
藤谷に解かれ、はだけた胸元を抑え、俯く。
弁解どころか、声すら出ない。
だが、藤谷はギリギリの所で約束を守り
いつものように明言をするのを避け、軽口を叩くに留まる。
「ハハッ、これはまた、悪戯が過ぎたようだ・・・」
キッと爽は更に鋭く藤谷を睨み付け
もう限界だ、というように貴子の腕を掴み
引き摺るように連行する。
藤谷はそれを止めようとはしなかった。
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