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「よくぞ、射た!!」
響くのは、低くも明朗快活な賞賛の声。
眩しいまでの光に瞼の裏が赤く照る。
藜は刮目した。
扇の的を射る。
その中央に穿たれた黒い切っ先は、赤い日の丸に遮られ藜の脳天には及ばない。
その光景はさながら、まるで詠み唄物語の一節のようだ。
「開戦の合図かな。」
不敵に笑う。
その声の主は、濡れ烏のたっぷりとした黒髪を結い上げ、黒の衣と、紅葉を散らした武甲を身に纏った武人武勇の男。
ぬばたまの黒い眼球に銀色の眼光が光る。
射抜かれた日の丸の扇をはらりと投げ捨てると、男は瞬く間に黒い現存へ間合いを詰め、軽々と一刀に両断する。
その刀身は先端から半分以上が両刃という独特の形状を持ち、黒漆塗りの夜を彷彿とされる鞘とはうって変わって、まるで照り輝く太陽のように滑らかに光を反射させていた。
闇黒が晴れる。
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