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そこにあったのは、刀身が二尺を超える黒漆塗の鞘に納められた太刀。 華美な装飾は一切無いが、それでもその黒漆の光沢はまるで生きているかのように艶やかに目に映える。 藜はそっとその太刀に触れる。 当然、藜の目にその太刀の全貌が写ることはないが、変わりに神々しいまでの大烏の姿を瞼の裏で見た。 「あぁ、御身は…もしや…」 その時であった。 空気を凍てつかせるおぞましいまでの現存が姿を表す。 ──殺ス ───殺ス ────殺ス ──…敵…鏖…殲滅… ────殺ス ───殺ス ──殺ス ────────殺ス──────── “ソレ”は突如として現れた。
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