【十話 路地に迷い込む】

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「姉ちゃん、そんなに束縛されて嫌じゃないの」 水琴窟に遊びに来ている飛鳥が聞けば、 「縛る理由は、愛からでしょう。 それだけ私の魅力を評価してくれているんでしょうね。 今はこれでいい。」 「ふうん」 「簡単に手に入る、おとなしい男性もいいけれど、思い通りにならない一癖も二癖もある男性もまた魅力的。 だって「お前を愛している」なんて言いながら、見えない所のある人だから。 ちょっとでも、余所を向くのが嫌だったの。 だから、引きずり込んでしまいました。」 そう、いたずらっぽく笑う。 「それに、私ごときではびくともしないような男が恋に狂うのが良いのよ。」 これまで、何でも言うことを聞いてくれる男性としか付き合わなかった姉ちゃんには新鮮だったんだろうな。 束縛しすぎる男も困りものですが、束縛が好きという変り者も、たまにいますからね
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