【十七話 清四朗さんの誕生日(恵理さん)】

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今日は清四朗さんの誕生日。 誕生会という名の飲み会に、近隣から沢山の友達が集まって来た。 正ちゃんは幹事兼シェフとなり持参した中華料理店にあるみたいな巨大ガスコンロと鉄板で、ありとあらゆる種類の料理を作る。 女達は、ただ飲んで喋って、料理に舌鼓を打ち、ときどき、「これ美味しい!正ちゃん」と褒めたたえる。でも正ちゃんは、みんなが楽しそうにしいるのを見ているだけで、けっこう満足気だった。 会費は正ちゃんが材料費だけしか受け取ってくれない。そのかわり、みんなお酒だけはたっぷり持参する。 正ちゃんは、たまにふざけて、女の人のお尻を触ったりするんだけど、あんまり嫌らしい感じはしない。いや、正ちゃんなら寧ろちょっぴり嬉しいのかな? まあ、「正ちゃんならまあいいか」と笑ってさらりと流すのも、道理を解かった女の作法。 たらふく食べ、たらふく飲んで、楽しく酔っ払い何時間も何時間もぐだぐだお喋りをする。 現代では少なくなった、ご近所の大宴会、これがなかなか楽しい。 ここ川原町は都会ではない、かといって田舎でもない、古風な風情を残した町と同様、住む人の義理と人情、そして男前と色女が町の名物なのだ。 ちーちゃんは、今日、黒川さんの飲み会に行ってしまったようだった。 つい先日、佐緒里は栄二さんからの愛情を誤解して怒られ、落ち込んでた。 ちーちゃんに愚痴を聞いてもらうつもりで我慢していたのでがっかりだった。 乾杯の時、渡されたシャンパンを前にして、栄二さんの顔が浮かんだ「佐緒里は、お酒にだらしない。人前で飲むな!」 けれど怒られて反発もあったから、えいやと言いつけを破ることにした。
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