第1章

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“互いの両親への挨拶” “双方の家族顔合わせの際の服装・マナー” こちらの両親はもう亡くなったと彼女には伝えているからいいとしても、家族顔合わせの服装はどうするか……。 ブーン、ブーン……。 ぎくりとして音のした方を見やる。 テーブルの上に置いたスマホが液晶上の緑色のランプを点滅させながら振動していた。 Eメールのアプリを起動すると、“紫織(しおり)”のフォルダに一通のメールが来ている。 彼女からだ。 妙な胸騒ぎを覚えながら開くと、次の瞬間、全身から血が一気に引いていくのを覚えた。 「やっぱり他に相手がいたのね。あなたの部屋から白ワンピの綺麗な女性が出て行くのを確かに見ました。プロポーズはしてくれたけれど、どうも私に隠し事をしている風だったので、いけないとは思いつつ、あなたのマンション周辺を見張っていました。怒りを覚えるよりも、何も知らなかった自分があまりにも」 文面は途中で切れていた。
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