第1章 選手入場

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会場は満員の観客で溢(あふ)れ返っていた。 まだ三十分前だというのに席を離れる者も居らず、今か今かと期待に胸躍らせている様子が伝わってくる。 あちらこちらで歓声が聞こえる。 会場の熱気はものすごく、もう既に試合が始まっているかのようだ。 少年たちは目を輝かせ、大人たちは童心に戻ったように、輝きに満ちた視線を会場の中央に向けている。 (この雰囲気が堪(たま)らないんだよな) そんな観客の様子を眺めながら、俺も興奮を抑えきれなくなった。 はやる気持ちを抑え切れずに、幼い頃のアイツの顔が脳裏に浮かぶ。 ……その時、突然、会場のアカリが消えた。
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