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私の隣で彼はずっと空を見詰めている。真っ青な空には飛行機雲が伸びている。一筋の線は真っ直ぐだった。
「君は明日、誰の側にいるんだろう」
彼の言葉に答える術はない。
臆病な私は彼の横顔から視線を逸らす。
彼の表情を見ることが辛くなって空に視線を逃がした。
飛行機雲が虹色だ。
太陽の角度で発生する光の現象で条件が揃わないと見ることができない。
彼の涙もそれと同じだ。男の涙など生涯見ることはないと思っていた。
今、様々な背景が絡まってふいに手を握られたことに身体が火照る。
偶然の産物のように出会い、明日を契ることすら許されない。
次にいつ合間見えるか知れない私たちを色付いた飛行機雲が見下ろしている。
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