序章

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序章

規則正しい心音。 生きていれば当たり前に聞こえる音で、当たり前だからこそ、普段気にすることはないだろう。 呼吸音にしても同じ。どちらも止まれば、人は簡単に死ぬ。 ピ…………ピ…………ピ…………ピ………… ゆっくりと。生きている証であるその音が、機械的な音に変えられて響いている。呼吸も穏やかで、安らかな寝顔を見せていると言えるのだろう。 身体中に繋がれた、血流と心臓の拍動を保つ為の電極。両腕から延びる点滴のチューブ。呼吸を補助するための酸素マスクがなければ、だが。
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