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「あ、きたきた。」
ドアまで早歩きで来た私を見て、ふわりと笑う。
そんな優しげな笑顔に胸がドキッと高鳴る。
ほんのりと赤くなった頬を冷ますようにパタパタと手で扇いだ。
「ふふ…暑いの?」
クスリ、と速水先輩は笑みを零す。
彼の名前は速水 紳(ハヤミ シン)。
こんな私にでも構ってくれる優しい先輩だ。
『はい…もう7月ですからね~。』
違う。
違うのに…。
本当は全然暑くなんかない。
でも、先輩のせいで赤いんですなんてコトを言う勇気なんて持ち合わせてない。
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