第1章

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きっと、背を向けるよりも顔をそむける方が早かったんだろうな。 凛がひっついてる机の数メートル前で走るのをやめて歩く。 机の前まで来た私は、椅子の背もたれを掴み、そのまま後ろへ引く。 ガガ…と引きずる音が聞こえたのか、凛はバッと顔をあげた。 「おかえり~!!」 凛に顔を見られたくなくて下を向きながら座った私を凛はジロジロと見たあと口を開く。 「………顔を隠すのは良いけどさぁ…。 ………………耳、隠さなくていいの?」 凛の言葉を聞いた瞬間両手で両耳を覆い、バッと顔を上げる。 視線の先には凛のニヤニヤした笑み。
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