僕にしか見えない

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学校に着いて、休まず教室へ向かった。 教室には誰もいない。 僕は、机の上にスマホがあるのを確認して安心した。 「あった!良かったー」 スマホを手に取ると、画面には不在着信と留守電の表示がある。 「非通知だ…誰だろう」 気になった僕は、留守電を再生した。 『…雨の…日に傘…さ…さない…で』 「??」 多分、知らない女の人の声だった。 もう一度、留守電を聞いてみようと思ったけど、間違えて消去してしまった。 「ま、いっか」 教室を出て靴を履き替えて帰ろうとした時、 校門の傍に赤い傘を差した女の人が立っていた。 雨は降っていないのに、手には白いビニール傘を持っている。 僕は誰かのお母さんかもしれないと思い、挨拶をした。 「こんにちは!」
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