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「!
あなたは!?」
「名乗るほどの者では御座いません」
にこやかに栗島氏。
やがて高齢者は、自らの小さなマナー違反に気づく。
「私は一式陸攻と申します。
是非ともあなたの御名前を伺いたい」
直立不動の姿勢となりながら一式翁。
すると栗島氏は、ますますにこやかになって口を開く。
勿論直立不動の姿勢を取りながら。
「栗島影正と申します」
「にふぇーでーびる」
「どう致しまして」
互いに挨拶を交わすや否や、栗島氏と一式翁は旧知の間柄のように談笑しつつ、テキパキと機関車の清掃を進めてゆく。
その様子を小さな影たちが、キャブの丸窓から嬉しそうに見守っていた。
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