2013年初夏。

2/11
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/277ページ
 沖縄県龍南市符礼亜(りゅうなんしふれあ)を南北に貫く県道○号線沿いのとある一角。 一式翁の自宅がある場所である。 そのほぼ真向かいにはテンシャバ公園と呼ばれる公園があり、地元に住む人々の憩いの場になっていた。 そしてそのテンシャバ公園の一角には、コッペル社製の小さな蒸気機関車がチョコンと置かれている。 よく見るとそのコッペル社製小型蒸気機関車は地面から一段低い場所に置かれており、その場所をコの字型に囲むようにコンクリートの残骸が残っていた。 残骸のあちこちに大小様々な弾痕が穿かれている事から、沖縄戦当時既にここにあった建物の残骸に間違いない。 そして機関車は、幅762mmに敷かれた細いレールの上に鎮座している。 近くに立つ説明板に拠ると、沖縄返還間もない頃工事中に発見された掩体壕の跡らしきものとそこに埋まっていた機関車を掘り返し、後世に伝えるべく小さな博物館として保存そして整備したものとのことであった。
/277ページ

最初のコメントを投稿しよう!