一人になりたい男

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「藤…次郎っ」 「ほら、全部入った」 「やぁっ…」 「こーら。嫌じゃない」 背中を俺の体に預け、身を捩り、後ろからの突き上げに歯を食い縛る。 額から頬を伝って流れ落ちた一粒の汗が、胸の突起を摘む俺の手の甲に着地した。 ひんやりとしたその感覚に、一瞬だけ、身震いする。恐ろしいほどに低い、由宇の体温。 汗までも冷却させてしまうその事実に、やはり俺は体を震わせた。 「んんっ…」 「やっべ…な、これ…」 首を右後ろ四十五度に傾け、虚ろな瞳を俺に向ける。 半分開いた口が、色気を倍増させる。 貪るように食いつくと、驚くほどに熱い唇。 柔らかく、蕩ける。 骨の髄を、溶かす。 そして込み上げる、熱い欲の塊。 一気に昇り詰める、天国まで。 「藤次郎っ…もう…っ…」 「っとに…お前は…」 いつからそんなにおねだり上手になった? 誰に調教された? 気に食わねえ。 「んじゃ、中に出さねえとな」 「だっ…め」 「ナマでやってる時点でヤバい」 「やだぁ…」 「大丈夫。気持ちいいって」 もはや返事もままならないようで、今の由宇は俺にしがみつくだけで精一杯。 このまま中で果ててしまいたい欲求を、どうにか抑えようとするけれど。 「…っ…もー、いい?」 「あっ…ん…はあ…あぁっ……」 絶頂を迎えた俺は、由宇を抱き込むように前に倒れ込んだ。 熱く乱れた息が二つ混じり合い、でもそれは決して、冬の満員電車の熱気のように不快なものではなくて。 暗闇の中でもわかる、上気して赤く染まった頬。 由宇の背中と密着した胸に、粘々とした液体が纏わりつく。
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