0人が本棚に入れています
本棚に追加
衝撃。
頭から吹き飛ぶ。
二、三度転がり、離れた位置で体勢を立て直す。
外側に振り上げられた『鬼』の左腕。
殴ったのは利き腕でなく、防具すらつけていない拳の甲。
それも腕の力だけで。
それでも、槌で思い切り殴られたような衝撃が頭の芯を貫いた。
頭のふらつきを我慢し、彼は正眼に構える。
足にも影響がある。
構えを取るのがやっとだった。
好機にも関わらず、『鬼』は仕掛けてこない。
「……弱いな」
『鬼』が呟く。
「肉体的にも精神的にも、まだまだ未熟」
「黙れッ!」
「その上、憤怒にただ身を任すなど笑止千万! 恥を知れ!」
「説教を聞く気はない!」
震える足に喝を入れ、『鬼』へと駆け出す。
最初のコメントを投稿しよう!