平穏が消える日

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(まぁ何であれ、今の日常が壊れなきゃ....別にいいんだけどな....。) そう....これ以上、悪くならないのなら、それでいいのである。 そう....父さんが死んだ時から家族の中で、何かが壊れてしまったのだから、この状況は仕方がない。 父さんを失って分かった事だが、重い苦しみを抱えてるヤツは、自分を維持する為に歪む。 俺然り、美沙子姉さん然り。 妹の小夏がガサツになったのも、その頃からだった。 母さんも笑いはするが、父さんが死んでから心から笑っている所を、見ていない。 母さんの場合、笑顔とは裏腹に、目が悲しみに満ちているのだ。 多分、悲しみを抱え込んでいるが故に、笑うように意識して、悲しみから目を背けるように努めているのだろう。 そう........父さんは、それぐらい家族にとって、大切な存在だったのである。 だから....理不尽な理由で、もう何かを失うのは正直、御免だった。 もう....二度と、そんな事になって欲しくない....。 それは、俺の切なる願いだったのである。 「おーい、優兄~? ボーとしてると、学校遅刻するよ?」 「えっ!? マジでか!???」 俺が慌てて、テレビの時間を確認すると時計は、午前八時二十分を過ぎていた。 学校へは、ここから走って二十分程....。 出席確認が、午前八時四十五分。 つまり、走らなければ遅刻確定である。 「やっべ! 遅刻だ!!」 俺はハムサンドをくわえたまま、慌てて家から飛び出した。 「優兄~そうしてると、何かお魚くわえた何とか、みたいだよね?」 「俺は泥棒ネコの類いか!?」 俺は残ったハムサンドを一旦、口から右手へと移しつつ、小夏の一言に反論する。 だが....良く考えて見れば、そんな反論などしている暇など無い事に、俺は気付いた。 口を動かすより、先ずは足を動かさなければ本当に遅刻してしまう。 何より最悪な事に今日の、うちのクラスの担当教師は、よりにもよって松村だ。
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