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それだけで十分に、最悪なのだがヤツには、更なるダメ押しがある。
そのダメ押しとは、そんな俺を見て股間を握り締めながら....楽しげに笑っていたと言う追加要因であった。
更に付け加えるなら噂に過ぎない為、確証こそ無いが女子生徒を真っ裸にして、自画像を書かせながら、自慰行為にふけっていたと言う話もある。
これは飽くまでも噂であり、証拠はないが....ヤツなら、やりかねないと俺は思った。
まぁ、そんな理由により俺は、遅刻する訳にはいかないのである。
何があろうとも――。
だが、そんな状況に頭を悩ませながら、ペースアップを試みた直後、突然、小夏が爽やかな笑顔で、別れを告げてきたのである。
「優兄の健闘を祈ります!
じゃ~ね~♪」
(くっ!
何てお気楽な!?)
俺は恨みがましい目付きで、早々に学校に着いた妹の小夏を見送ると、俺は更に走る速度を加速させた。
正直、中学校や小学校は近くて羨ましい限りである。
俺だって学校が近ければ通学に、こんなに必死になる事など無いのだから。
「うぉぉぉぉぉぉ!
遅れて堪るかぁぁぁぁぁ!!」
俺はそんな掛け声を上げつつ、全力で走った。
そして、その結果....何とかギリギリ一分前に、教室へと到着したのである。
「よう!
ギリギリセーフおめでとう、鈴原♪」
「はぁ....はぁ....はぁ....。
お........御早う....長岡。
お、お前は家....近くていいな~。」
「あぁ、だからここに通ってるんだよ♪」
俺の悪友、長岡雅也【ナガオカ・マサヤ】は、楽しげに俺へと笑いかけた。
(全く....何が楽しいんだか?
これから松村の最悪な出席確認が、開始されると言うのに??)
俺は溜め息をつきながら、長岡の方を見据える。
だが、そんな時だ。
長岡が、予想外の一言を俺に放ったのである。
その一言とは――。
「全力疾走ご苦労さん。
でも鈴原よ、お前の苦労は報われないんだな~。」
「な、何でだよ!!?」
「だって松村のヤツは今日、実家の会社のミーティングとやらで、昼ぐらいに出勤だそうだからな?
残念だったね鈴原♪」
「ま....マジかよ?」
俺は、そんな長岡の容赦ない言葉に、思わず項垂れた。
――――――
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