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結局、俺は長岡と共に、デバガメをする事になったのである。
理由は、俺も松村のやらかしている事に興味があったからだ。
もっと明確に言うなら、松村を社会的に抹殺する為の情報が一つでも、欲しいと思ったからである。
それは多分、長岡も同じ気持ちだろうが....。
俺達二人は、生徒用通学入口から松村と、松村の被害者である佐山恵【サヤマ・メグミ】のやり取りを、見守った。
長岡の話では佐山恵は、あるアイドルグループの一人に、良く似た美少女として男子には、それなりに人気があるらしい。
俺は、そういったものに興味がないので、良くは知らないが....。
まぁ、それはさておき俺達二人は、松村達の話をスマホで、録音しつつも聞き耳を立てた。
そして、そんな中で聞こえてくる内容は、実に胸糞悪くなる様なモノばかりだったのである。
「お....ねがぃ....です。
写真....消して下さい....。」
佐山恵は、消え入りそうな声で、何度も何度も、松村にそんな事を言い続けた。
だが、松村は....そんな佐山の顔を見下ろしながら、舌舐めずりをしつつ嘲笑う。
それから何度、佐山が同じ言葉を松村に、言い続けたであろうか?
良くは覚えていないが、何度目かの佐山の言葉の後、松村は醜い笑みを浮かべながら、佐山に言った。
「ダメだね。
コイツを消去しちまったら俺、お前とヤれなくなっちゃうじゃ~ん?
大丈夫だよ....メ・グ・ミ~♪
妊娠したら、俺の愛人にしてやるから将来安泰だから~。
まぁ、産みたくないなら~中絶しちゃえばいいんだしよ?
何にしても、これからメグミちゃんは囲ってあげるから安心して良いんだよ。
一生な――。」
そんな言葉を聞いた瞬間、佐山恵は糸の切れた人形の様に、その場に力なく座り込む。
そして俺は、そんな松村の言葉を聞いた瞬間、殴り倒してやりたいとの衝動に駆られた。
女子にセクハラしたと言う、松村の噂....。
だが、それはセクハラ処の話ではなかったのである。
外道野郎・松村の暴挙により一人の少女の人生は完全に破壊されていたのだ。
(ダメだ....。
我慢出来ねぇ――!
何処まで、やれるか分かんないが、可能な限り殴り続けてやる!!)
俺は怒りの余り、松村達の所へと向かおうと足を踏み出す。
だが、不意に長岡が俺の右肩を掴み、俺を踏みとどまらせる。
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