平穏が消える日

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「全く....普通のか弱い女子中学生なら、清掃で落ち着いた雰囲気の女子に憧れたり、可憐な少女って雰囲気を求めたりするもんなのだがな....。 何処をどう間違えたら、こんなプロレスやら空手やらに憧れる、ガサツ狂暴少女が出来上がるんだか?」 「何言ってんの優兄? それは、優兄の好みの話でしょ? ベットの下に潜んでいる如何わしい本と、ゲームを見れば分かるわよ、そんなの? か弱い妹に、そんな如何わしい妄想を押し付けないで貰いたいんだけど!?」 「な....!?? 何故....お前が、そんな事を知っている!???」 俺は青ざめた顔で、小夏を問い詰める。 「そりゃあ、私が優兄の如何わしい妄想に溢れた部屋を、片付けたからに決まっているじゃないですか?」 「いつ!?」 「日曜日だよ? まぁ、つまり昨日って事。 優兄が、出歩いている間に――。」 「くっ....!? 何の権限があって、俺の部屋を漁ったって言うんだ、お前は!??」 「優兄が余りにも散らかし巻くっていたんで、美沙姉とお母さんの命により片付ける事になったの!」 (マ....マジか!? 俺のプライベート垂れ流しじゃん!??) 俺は茫然としながら、部屋を見渡した。 確かに考えてみたら、やたらと部屋が綺麗になっている。 (だが、しかし何故、こんなに綺麗になっているのに気付かなかったんだ俺は!?) 俺は動揺の余り、小夏の顔をマトモに見れずカタカタと肩を震わせながら、部屋の床に敷かれたカーペットを凝視した。 改めて見れば、確かに綺麗になっている。 俺の哀愁漂う丸まったティッシュの数々も、確かに見当たらない....。 だが、そんな時....俺は不意にある過ちに気が付いた。 (俺は、妹である小夏に何てモノを片付けさせてしまったんだ!??) 「全く....何で、ティッシュばかりを、あんなに散らかせるかな優兄は? 花粉症にでもなったの!?」 「ご....ごめんちょ....。」 俺は青ざめた顔のまま小夏に、たどたどしく詫びる。 それは、まさしく知らぬが何とかであった。 何故なら....そのティッシュは、決して花粉症の処理といった、容易く言葉に出来る事情で使用したものではないからである。
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