44人が本棚に入れています
本棚に追加
「全く....普通のか弱い女子中学生なら、清掃で落ち着いた雰囲気の女子に憧れたり、可憐な少女って雰囲気を求めたりするもんなのだがな....。
何処をどう間違えたら、こんなプロレスやら空手やらに憧れる、ガサツ狂暴少女が出来上がるんだか?」
「何言ってんの優兄?
それは、優兄の好みの話でしょ?
ベットの下に潜んでいる如何わしい本と、ゲームを見れば分かるわよ、そんなの?
か弱い妹に、そんな如何わしい妄想を押し付けないで貰いたいんだけど!?」
「な....!??
何故....お前が、そんな事を知っている!???」
俺は青ざめた顔で、小夏を問い詰める。
「そりゃあ、私が優兄の如何わしい妄想に溢れた部屋を、片付けたからに決まっているじゃないですか?」
「いつ!?」
「日曜日だよ?
まぁ、つまり昨日って事。
優兄が、出歩いている間に――。」
「くっ....!?
何の権限があって、俺の部屋を漁ったって言うんだ、お前は!??」
「優兄が余りにも散らかし巻くっていたんで、美沙姉とお母さんの命により片付ける事になったの!」
(マ....マジか!?
俺のプライベート垂れ流しじゃん!??)
俺は茫然としながら、部屋を見渡した。
確かに考えてみたら、やたらと部屋が綺麗になっている。
(だが、しかし何故、こんなに綺麗になっているのに気付かなかったんだ俺は!?)
俺は動揺の余り、小夏の顔をマトモに見れずカタカタと肩を震わせながら、部屋の床に敷かれたカーペットを凝視した。
改めて見れば、確かに綺麗になっている。
俺の哀愁漂う丸まったティッシュの数々も、確かに見当たらない....。
だが、そんな時....俺は不意にある過ちに気が付いた。
(俺は、妹である小夏に何てモノを片付けさせてしまったんだ!??)
「全く....何で、ティッシュばかりを、あんなに散らかせるかな優兄は?
花粉症にでもなったの!?」
「ご....ごめんちょ....。」
俺は青ざめた顔のまま小夏に、たどたどしく詫びる。
それは、まさしく知らぬが何とかであった。
何故なら....そのティッシュは、決して花粉症の処理といった、容易く言葉に出来る事情で使用したものではないからである。
最初のコメントを投稿しよう!