残り火

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鳥形は、溜め息をつきながら一旦、俺の顔をマジマジと確認する。 そして、鳥形は再び、口を開いた。 「成る程........。  そのツラは後者って感じだな? なら説明してやる。 お前の血を、委員長ちゃんに飲ませて、委員長ちゃんを助けろ――。 以上で説明は、終わりだ!  理解したか鈴原?」 「俺の血を飲ませるだって――?? 柚森にか――?」 俺には、鳥形の言っている意味が、全く理解出来なかったのである。 血を飲ませると言う、言葉の意味が――ではない。 何故、そんな事をしなければならないのかと言う――その行為の意味についてだ。 だが、1つだけ思い当たる節があった事に俺は、不意に気付く――。 その思い当たる節とは、柚森が既にキラー・ブラッドを、発症していると言う可能性である。 ならば、鳥形の傷が血を摂取する事により、治癒したように柚森の傷が、俺の血を摂取する事により、癒える言うのも頷けた。 だが....引っ掛かる事が1つある。 その可能性が正しいとして何故、俺の血である必要性があるのだろうか? キラー・ブラッドが発症しているなら今、そこで殺されている3人の血液でも良い筈なのである。 ならば何故――? 「それは俺のじ血じゃなければ、駄目なのか?」 「ふーん、何か勘違いしてるみたいだな鈴原――? 言っておくが、委員長ちゃんはキラー・ブラッドを発症してないぜ。」 「えっ....? いや、だって....お前に犯されたんだぞ!? 間違いなく感染してるだろうが――!」 「感染だと――? 鈴原、お前....マスコミとかの情報を、鵜呑みにしてる訳じゃあるまいな? 少し考えてみろよ――。 佐山・恵は一体、誰からキラー・ブラッドを感染したって言うんだ?」 確かに鳥形の言う事には、一理あった。 キラー・ブラッドが感染症の類いなら、佐山・恵は誰を介して、感染したと言うのだろうか? そもそも........キラー・ブラッドは現在....いや少なくとも昨日までは、外国のみにしか発症症例の無い病であった筈だ。 つまり感染症であるならば、必ず外国に行っている人間....もしくは、外国から日本に来た人間との接触がある筈なのである。 だが、もし....佐山が、その要因により感染した場合、1つ大きな疑問が生じる訳。 その疑問とは鳥形が、どうやってキラー・ブラッドに感染したかと言う事である。
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