44人が本棚に入れています
本棚に追加
妹に欲情する変態兄貴のレッテルを――。
だから俺は死守しなければならない。
相手が可愛い妹であろうとも――。
いや、相手が可愛い妹であるからこそだ!
「や~め~ろぉぉぉぉ!」
「い~や~だぁぁぁ!!」
小夏は、頑として引く様子を見せない。
いや、ある意味、更に強く引きに入っている。
(くっ....!?
このままでは不味い!
布団が、擦れる
くそ....このままじゃ堪えられない!)
俺は思わず歯を食いしばった。
だが、その直後――。
「はい、はい。
小夏ちゃん、ハイそこまで!
後はお姉ちゃんに任せて大丈夫だから、下で早く、御飯食べてね?」
「ハーイ。」
小夏は、美沙子姉さんの言葉に従い素直に立ち去る。
(た....助かった?)
俺は一瞬、安堵した。
しかし....考えてみれば問題は、更に悪化の一途を辿っているような気がする。
そして....案の定、それは取り越し苦労ではない事を、美沙子姉さんは見事に示す。
「優く~ん、そろそろ起きてね?
それとも布団から出られない理由でもあるのかな~?
例えば、優くんとは御子様がオッキしてるとか??」
(グハッ!?
す、鋭すぎる....流石は社会人!
俺とはキャリアが違う....。)
俺は美沙子姉さんの鋭さに、感心しつつも、確実に追い詰められていた。
しかし、幾ら社会経験豊富な姉と言えど....これだけは、明かせない。
ある意味、美沙子姉さんの方がモノを知っているだけに、小夏より怖いと言えるのである。
そう....だからバレてはならない....。
「な....何を言ってるのかな美沙子姉さんは?
俺はただ、着替えを見られたくないだけだって。
今、下に行くから、美沙子姉さんも下に行っててよ――。」
(よし!
不自然じゃない。
これなら多分、誤魔化せる筈だ!)
だが、世の中は――。
否!
美沙子姉さんは、そんなに甘くはなかったのである。
「優く~ん、お姉ちゃんが見ててあげるから、早く着替えて御飯食べてなさ~い。
は・や・く・してくれないと、お姉ちゃんのドロップキックが炸裂するわよ?」
(ヤ....ヤバイ!?
この顔はマジだ!!)
「ま、待って下さい!
どうか平和的に話し合いましょう!」
だが、美沙子姉さんに、耳を傾けようと言うする様子はない。
「覚悟、優くん♪」
とてつもなく楽しそうに、美沙子姉さんは助走をつけた。
最初のコメントを投稿しよう!