平穏が消える日

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妹に欲情する変態兄貴のレッテルを――。 だから俺は死守しなければならない。 相手が可愛い妹であろうとも――。 いや、相手が可愛い妹であるからこそだ! 「や~め~ろぉぉぉぉ!」 「い~や~だぁぁぁ!!」 小夏は、頑として引く様子を見せない。 いや、ある意味、更に強く引きに入っている。 (くっ....!? このままでは不味い! 布団が、擦れる くそ....このままじゃ堪えられない!) 俺は思わず歯を食いしばった。 だが、その直後――。 「はい、はい。 小夏ちゃん、ハイそこまで! 後はお姉ちゃんに任せて大丈夫だから、下で早く、御飯食べてね?」 「ハーイ。」 小夏は、美沙子姉さんの言葉に従い素直に立ち去る。 (た....助かった?) 俺は一瞬、安堵した。 しかし....考えてみれば問題は、更に悪化の一途を辿っているような気がする。 そして....案の定、それは取り越し苦労ではない事を、美沙子姉さんは見事に示す。 「優く~ん、そろそろ起きてね? それとも布団から出られない理由でもあるのかな~? 例えば、優くんとは御子様がオッキしてるとか??」 (グハッ!? す、鋭すぎる....流石は社会人! 俺とはキャリアが違う....。) 俺は美沙子姉さんの鋭さに、感心しつつも、確実に追い詰められていた。 しかし、幾ら社会経験豊富な姉と言えど....これだけは、明かせない。 ある意味、美沙子姉さんの方がモノを知っているだけに、小夏より怖いと言えるのである。 そう....だからバレてはならない....。 「な....何を言ってるのかな美沙子姉さんは? 俺はただ、着替えを見られたくないだけだって。 今、下に行くから、美沙子姉さんも下に行っててよ――。」 (よし! 不自然じゃない。 これなら多分、誤魔化せる筈だ!) だが、世の中は――。 否! 美沙子姉さんは、そんなに甘くはなかったのである。 「優く~ん、お姉ちゃんが見ててあげるから、早く着替えて御飯食べてなさ~い。 は・や・く・してくれないと、お姉ちゃんのドロップキックが炸裂するわよ?」 (ヤ....ヤバイ!? この顔はマジだ!!) 「ま、待って下さい! どうか平和的に話し合いましょう!」 だが、美沙子姉さんに、耳を傾けようと言うする様子はない。 「覚悟、優くん♪」 とてつもなく楽しそうに、美沙子姉さんは助走をつけた。
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