平穏が消える日

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―――――― 「優くん、トイレは我慢しちゃダメよ? 我慢は体に悪いし、下着を汚したら洗濯物、増えちゃうから。」 「でも優兄、子供じゃないんだからオシッコ漏らしちゃダメだよ?」 母さんに続き、小夏が俺に向けて言った。 「いや、本当に申し訳ありませんでした。 優児【ユウジ】一生の不覚と、心に刻み込み以後、気を付けます。」 俺は、深々と母さんと小夏に頭を下げる。 だが、その直後――美沙子姉さんが言った。 「だよね優くん。 “こんな事が、世間に知れたら社会的に抹消されかねないもんね?”」 「まっ....全くです。 美沙子姉さん。」 俺は顔をひきつらせながら、美沙子の言葉に答える。 美沙子姉さんは、俺のそんな表情を確認し、意地の悪い笑みを浮かべた。 遡る事、五分前――。 タオルケットの上から股間を、フライパンで殴打された俺は、タオルケットごと股間を握り締めしめながら、立ち尽くしていた。 そんな俺の様子を窺いながら、美沙子姉さんは、俺に問い掛ける。 「えっと........もしかしてなんだけど、さっきので出ちゃったとかって事は、無いわよね優くん?」 俺は、美沙子姉さんの問いに答えず、俯いたまま黙した。 何故なら、それが答えだったからである。 俺の若さ溢れる下半身は、デリケート過ぎるが故に、美沙子姉さんの絶妙なフライパンから成る刺激に、過敏に反応してしまったらしい。 (うそだ........。 うそだ、ウソだ、嘘だ!!? 誰か嘘だと言ってくれ~!???) 俺は、現実から目を背けようと、心の中で叫んだ。 だが、それは否定し得ぬ明らかなる現実だったのである。 だが、そんな時だ。 不意に美沙子姉さんが、耳打ちしてきたのである。 「ね~え優くん~。 優くんは、この年齢でお漏らしした、恥ずかしい少年って立ち位置と、妹とや姉に欲情した挙げ句、フライパンの刺激が気持ち良すぎて、果てたド変態のケダモノ。 どっちがいい?」 それは正しく、悪魔の囁きであった。 だが、俺に選択肢などあろう筈がない。
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