second.21

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「…あおい?」 柚くんがはっとしたように私をのぞき込む。 「ヒロヤクンの本気が見られて満足だからぁー、逮捕されてあげてもいいけどぉー」 遠くから、カズマさんの声がする。 「…ウサギチャンに早く解毒剤飲ませないとねー」 愉快そうな笑い声が響き、屈強な男性たちに引き連れられたカズマさんが近づいてくる。 私を抱きしめたままの柚くんに、 「ホント、ウサギチャンのことになると見境ないね、ヒロヤクン」 楽しそうに話しかけるカズマさんの声が聞こえる。 「ハワイに飛んでもらうはずだったのに、戻ってきちゃってさぁ。まあ、どっちにしても、ハワイに行かないとね。ボクの手伝いしてくれたら、解毒剤渡してアゲルからぁ―――」 タガが外れたようなカズマさんの笑い声。 朦朧とする意識の中で、 「(柚くん、ごめんね)…」 柚くんを窮地に追い込んでしまったことを悟る。 …ごめんね。 柚くんの役に立ちたかったのに。 私の声が聞こえたかのように、柚くんがもう一度優しく唇に触れた。 優しすぎて泣きたくなる。 柚くんが遠くに行ってしまいそうで怖い。 「(だいす、)き…」 世界一大切な柚くんの腕の中で、意識が途切れた。 あとはただ何もない暗闇に落ちていく。
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