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「あ、あおちゃん。発見~」
野菜ジュースをすすっていたら、秘書課の結子さんがひょっこり現れた。
「結子さんっ」
自然と声が弾む。
美しくて仕事が出来ておまけに人柄も可愛い結子さんは私の憧れ。
「常務にね、お土産貰ったんだけど、ここのお菓子、あおちゃん好きだったから、一緒に食べようと思って」
向かいに腰かける結子さん。
幹部役員室は上階にあるから、秘書課の結子さんは普段、この階には現れない。
「皆さんもいかがですか」
女神降臨に、狭い控室が突然華やぐ。
美人は人類を勇気づける。
微笑みかけられて、おじさんたちは一斉に鼻の下を伸ばす。
どんなに冴えなかろうと、背中を丸めて下を向いていようと、
人間は相手を全身で感じているものなのだ。
「でね、あおちゃん」
私に向き直って、いささか興奮気味に結子さんが話し出す。
「帰ってくるの」
美しい結子さんが可愛いらしくはにかむ。
結子さんは私より年上だけど、この自然な女性と少女の融合が幅広い世代から愛される所以だと思う。
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