第1章

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ナイフがおれの右手首に触れた瞬間ナイフが引かれた。 おれの右手首から熱い血が滴り落ちる。 「ぐあああ!!!」 「ちょっと深く切りすぎましたかね?」 「血を止めてくれええ」 「そういうわけにはいきません。あなたにはしっかり反省してもらわなくては」 「反省...だとお?」 「そうです。私は、ずっとあなたの近くに居ますから、ご自分の胸に手を当ててよく考えてみてください。ああ、手が縛られては胸に手は当てられませんね...ふふふふ」 「ぶっ殺してやるうう」 「おやおや、まだまだ威勢がいいですね。その元気いつまで続くことやら」 「くそう!くそう!おれが何したってんだ!」 「そうそう、参考までなんですが、人間の血液って大体4?5リットルほどなんですけど、そのうち1/3つまり1.5リットル程度の血液が無くなると死亡してしまうらしいですよ」 「ふざけるなあ!」 「そんなに暴れると血圧あがっちゃいますよ...」 「くそう!くそう!」 「私は近くに居ますから、お話があればいつでもどうぞ」 男はそれだけ言うと、おれのそばを離れたようだった。 くそ!くそ!なんでおれがこんな目に! いやだめだ!まずは怒りを鎮めるんだ、このままでは血がどんどん流れてしまう。 すう?はあ?すう?はあ?.... 深呼吸を数回繰り返すとようやく少し落ち着いた。 しかし、いぜん手首からは生暖かい血がぴちゃぴちゃと滴り落ちている。 このペースで血が流れたら一体どれくらいの時間で1.5リットルもの致死量に至ってしまうのだろうか。 考えろ考えろ... おれが何をしたっていうんだ...!
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