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 しかし、現実に戻ってよく見てみると、戦っている相手は藤城高校ではなかった。  すぐに得点版を見ると、11-0でうちの圧勝。  相手は強豪校…ではなく、真逆の弱小校だった。  加住は初めから、俺にかけにのさせるように、藤城高校の名前を使ったのだという結論に達し、頭が真っ白になった。  最初から、全部あいつの計画通りだったって事か…。  数時間前の自分の自分を心底恨み、逆に数十分後の自分がどうなっているか考えると、怖くなった。  鳥肌が立ち、思わず腕を抱きかかえたその時、ホイッスルが鳴り響き、一際大きな歓声とともに試合は終了した。  いわずもがな、圧倒的な点差でうちが勝利し、選手たちも大喜びしていた。  その中には、加住ももちろんいて、じっと見続けていると、不意に視線が交わった。  俺があの結論に至ったことが分かったのか、加住は恐ろしいほどの笑みを浮かべた。  何を考えているのか全く読めなくて、俺は即座に踵を返し、自分の部屋へ足早に帰った。  まだ夏生は帰っていなかった。だけど、やっと落ち着ける場所に帰ってきたからか体の力が一気に抜け、俺はその場に座り込んだ。  深呼吸をして心を落ち着かせてみても、状況は何一つ変わらない。
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