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 「加住がここ通った時に言ってたから…。すべて話しますって…」  碧も桐斗と同じくらいの人の気持ちに気付く方だったことを思い出す。  2人とも、全部知ってるからこそ、今まで黙っててくれたんだ…。  「2人には、たくさん迷惑かけたね…。ごめん…」  「いいよ。おれも、ひろの気持ち知りながら、きりと付き合うこと決めたんだし。それに、昨日ひろが苦しんでる時に、追い打ちかけるようなことをしたから…。ごめん」  2人して互いに謝りあうこのシュールな光景に何だか、笑いがこみあげてきて、くすっと笑う。  夏生と話しているときのような穏やかな空気の中、突然背後から手が伸びてくる。  「よっ。俺抜きで話進めんなよ、お2人さん」  一番会いたくないと思っていた人物のいきなりの登場に驚いていると、碧がポケットからスマホを取り出し、ばつの悪そうな顔をする。  「碧に頼んだの俺だから、あんま何も言わないでやって」  桐斗が俺の頭を数回撫でる。  髪がくしゃくしゃになるのを懸念して、しかめっ面をしてみせれば、桐斗は意地の悪い笑みを浮かべた。  「で、大翔君は俺に告白してくんないの??」  確実に俺をからかっていると分かる声で言われると、言う気なんて起こるはずもなく、俺は嫌、と一言で答えた。  「まぁ、それも全部わかってたけどな。これはもう碧にも話したことなんだが、俺も実はお前の事好きだったぞ」  驚いて、すぐに碧を見ると、目を見て笑いながら頷いた。  もう一度桐斗の顔を見ても、至って真剣な表情をしている。  これは、本当のことなんだと頭の中でつながり、思わず手を口に当て、俯いた。  「でも、多分俺とお前じゃだめだ。俺は人をいじめるのが好きな最低な奴だから、きっとお前を幸せにはできねぇ」
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