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気が済むまで、感情を吐き出した後、俺たちはまた最初のように並んで座った。
「…こんなに泣いたの、久しぶり」
少し笑いを含めながら、碧がぼそっと呟いた。
それに続いて桐斗も
「あんだけお互いに気持ちぶつけ合うって普通はしないからな」
と空を見上げた。
俺もそんな2人の言葉を聞いていると、気が楽になって、2人にばれないよう、笑みを浮かべた。
「なぁ、大翔。俺は、加住と付き合うの、いいと思うぞ。あいつは多分、お前の事、全部理解した上で告白してんじゃねぇか?」
そう言われて、頭の中に顔を思い浮かべる。
正確な日は分からないけど、約2週間くらい前から、ずっと俺の後をついてきた加住を。
『立花さんの事、一番理解しているのは、僕ですから』
そう、言ってくれた加住を。
でも…。
「…俺は、あいつとは無理」
「そうなのか?」
「うん…。怖いよ、あいつと向き合うことが、できない。あいつに俺の全部知られてるような気がして、怖い…」
目を閉じれば、1番に思い浮かぶのは、加住の顔。
もう俺の頭の中まで、加住は入りこんできてしまってるから。
でも…。俺はやっぱり、男同士は考えられない。
だから…
「俺、加住に気持ち伝えてくる」
覚悟を決めて立ち上がると、2人は座ったまま心が暖かくなるような笑みを浮かべて、手を振った。
扉の前に立ち、1回深呼吸をする。
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