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 「大丈夫。立花さんの気持ちは分かってます。ずっとあなたの事見てるって言ってるでしょう?立花さんが、何に悩んでいるのかも、知ってます」  少しずつ、加住が俺に近づいてくる。  その距離は、まさに今の俺たちを表しているようで…。  「だから、僕を男としてではなく、1人の人間として見てください。僕、加住瑛士は、あなたの事を愛しています」  残り、3歩分の距離。加住はそれ以上近づいてこない。  …分かってる。これは、俺の分だ。  “愛してる”という言葉が頭の中でぐるぐる回る。  加住は、どうしたっていつも、俺の事を考えてる。  いくつもの壁を置いたのも、勇気のなかった俺を成長させるため。  辛いことがあったら、裏で何も言わず動いてくれた。  いつも加住の中心には俺がいる。  それが無性にうれしいと思うのは、そういうことなのかな…。  今まで恋なんてしたことない俺にとって、こんな複雑な気持ちは、難しすぎる。  それでも、この少しの距離を縮めたいと思ってしまったら、もう気持ちを止める事なんてできない。  「やっと、信じてくれたんですね」  嬉しそうな声を聴きながら、俺は3歩、加住に近づいた。  加住は優しく俺を受け止めて、そのままぎゅっと抱きしめた。  「…俺は、まだ自分の気持ちが分からない。でも、お前の事は、特別だと思うから…!!」  “それが、今出せる俺の答え”。言いかけた言葉は、加住によって、声にならずに消えていく。  唇に触れる柔らかな感触。  嫌だとは思わない。  そっと、こぼれた涙はどんな気持ちの証なのか…。  それを知る時、俺は本当の答えを出せるのかな…。
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