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「てわけで、名前と顔しか知らない後輩から告白されたんだけど、どうしたらいい?」
あれから教室へと逃げてきた俺は、同じクラスで幼馴染の桐斗と碧にさっきの事をすべて話した。
「…お前のホモ嫌い、全学年大体の奴に知れ渡ってるはずなんだが。よく告白したな、その加住ってやつ」
「ひろ、大丈夫?具合悪いとかない?」
基本はドSと無気力ではあるものの、心はとても優しい2人の友人は、無愛想で人付き合いの悪い俺の数少ない理解者でもある。
現に今も2人はとても心配そうな目で俺を見ている。
「それは大丈夫。それより、告白どうしたらいいか教えて。男同士で付き合うとか絶対ムリ」
「そんなこと言ってるところ悪いんだが…俺と碧も大分前から付き合ってるぞ」
「…え?」
一瞬、俺の中の時間が止まる。
少しして、やっとつながった答えは、俺にとっては理解したくないものだった。
深呼吸して心を落ち着かせてみるものの、さっきの告白と合わさって、頭はもう考えることをやめていた。
「…ごめん。今は、何も言えない。せっかく打ち明けてくれたのに、ごめん」
一言だけ2人に告げると、俺は2人の返事を待たずに教室を飛び出した。
頭で何も考えないように全力疾走である場所へと向かう。
それは、俺の事を理解してくれている最後の1人、夏生が待つ寮の自室。
見た目は決して人に好かれる方ではないけど、それでも人の嫌がることは絶対しない。
俺のホモ嫌いを知っている夏生なら、黙って俺の話を聞いてくれる。
そう信じて、俺は夏生との共同部屋である自室のドアを開けた。
「夏生。助けて…」
それだけで察しの良い夏生は大体の事は理解してくれたらしく、テレビを消して走って俺の元まで駆けつけてくれた。
「大翔、大丈夫か。とりあえず靴脱いで。中に入れ」
夏生に支えられながら、共同スペースであるリビングまで行くと、すぐにソファに座らされる。
「で、何があったんだ。お前がそこまで体調が悪くなるってことは、お前の嫌いなあれ関係なんだろ」
暖かい手で背中を撫でられながら、俺はもう一度、加住からの告白と、2人からの告白をすべて話した。
「…なるほどな。沢村と名草の事は、俺もうすうす気づいてはいたが、まさかこのタイミングで話すとはな」
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