3人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日の朝、目覚めると俺は自分の部屋のベッド寝ていた。
夏生が運んでくれたことは、すぐに予想がつき、重たい足を引きずって、リビングのドアを開ける。
テーブルの上にはラップで包まれた朝食と1枚の紙が置いてあった。
紙には、
『おはよう、大翔。俺は用事があるから、少し出てくる。朝食はちゃんと食べろよ』
というメッセージが汚い字で書かれていた。
心の中で夏生に向けてお礼を言ってから、俺はまだ温かいご飯に手を付けた。
料理が得意な夏生が心を込めて作ってくれたであろう、味噌汁や卵焼きはどれも涙がでそうなくらい美味しくできていた。
それを心行くまで堪能していると、突然部屋のチャイムが鳴り響く。
その時、ご飯に夢中になっていた俺は、昨日の出来事を一時的に忘れてしまっていた。
しぶしぶドアを開け、顔を上げると、そこにいたのは加住だった。
「…っ!!お前っ…」
動揺してすぐにドアを閉めようとするが、ギリギリで加住がドアを掴み、強引に玄関に入ってくる。
「っ!!何しに来たんだよ。加住」
「おはようございます。立花さん。今日は話をしに来ました。少しだけ時間もらえますか。すぐなので、場所はここで構いません」
「…少しだけなら」
爽やかな笑顔を浮かべる加住を直視することができず、俯きながら頷いた。
「ありがとうございます。僕がサッカー部に所属していることは、同じ部にいた立花さんなら知ってますよね」
今ここで部活の話が出るとは想像もしていなかった俺は驚き、とっさに加住を見上げた。
加住は変わらず笑みを浮かべながら、俺を見ている。けどなぜかその笑顔が少し怖くなり、すぐに視線を逸らした。
何も返事をしていないのに、何故か満足げに頷いた加住は話を進めた。
最初のコメントを投稿しよう!