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何分経っただろうか...
血が流れ続け床にある血だまりの上にまた血が滴り落ちるイメージが鮮明に目隠しされているおれのまぶたに映し出される。
「...なあ?あんた一体誰なんだ?」
「...自分で考えてください」
「あんたが誰なのかもわからなきゃ、反省しようにもできるわけがないだろ」
「私が誰なのかは教えられないですね」
「誰かに頼まれたのか?」
「その質問にも答えられません」
「じゃあ、反省なんてしようもないだろ」
「それでは、ずっとこのままですね」
くそう!あの男から何か聞き出せれば...!
「そりゃ、反省しろって言うならおれにだって心当たりがないわけではない。でも、なにに反省すればいいんだ!」
「...」
「...そう言えば、飲み屋に居たのはおれだけじゃなかったはずだ。他のやつらはどうした?」
「...さあ。存じ上げません」
「だって、アイツらだっておれと一緒に飲んでたんだぞ!支払が全部おれってのはおかしいだろ?」
「...興奮すると血が増えますよ?」
「くそーーー!!なんだってんだ!」
ダメだ、意識がもうろうとしてきやがった。
もう右手に感覚がない。
拳を握る力が入らない...。
「反省だったらなんでもするから助けてくれ...」
もうおれは死ぬのか........
いやだ........
いやだ........
薄れゆく意識の中でおれは依然ネットでこの状況と全く同じような話を思い出した。
「.....なあ。この滴り落ちているのは、おれの血じゃなくて、ただのみず水なんじゃないか?」
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