プロローグ

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時間は数時間戻り…… 様々な種族の優秀な人材を育成すべく……数千年前に創設された全寮制の男子校『デモンズヘル』。 その中でも、学園の理事長に選ばれた生徒会は教師よりも権力があり…… いくら教師でも命令に逆らえない。 グレーのレンガが特徴の高等部校舎。 毎朝恒例の正門で、生徒会による遅刻者チェックが行われていた。 ……と言っても、生徒会メンバーはサボっている者が多く…… 実質、生徒会長が一人でやっていた。 「おはようございます。遅刻者は減点2です」 紫色の髪で短髪、長身の蒼いブレザーの制服を着た眼鏡の男子生徒が立っていた。 手に持つバインダーに挟んである名簿用紙に記入していく。 クレイ・ハルマード・レイデル(18)。 高等部三年生で、真面目な生徒会長として他の教師や生徒達に一目置かれていた。 種族は悪魔で、魔術、学力、身体能力も高等部の中でトップであり…… 彼に勝てる教師も居ない程だ。 「ちいっ……」 舌打ちし、男子生徒は渋々校舎に入っていく。 「さて……生徒は最後ですが……教師がまだ一人来てませんね……」 クレイは溜め息をつくと、教師の名簿欄に目を通した。 「すまんっ!!遅れたっ!!」 白い純白の翼を羽ばたかせながら、白衣を着た、腰まである白髪の髪の、中世的な美しい顔立ちの男性教師がやって来た。 ルウク・ホワイティング(23)。 今年赴任して来た新米の保険医で遅刻常習犯だ。 種族は天使で、主に回復魔法が得意。
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