第1奇

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慣れてる、というのは、独りでいることもそうだが、その他の炊事洗濯などの家事全般のこともいえる。 まぁ、それほど上手いわけではないが。 「さて、と」 風呂敷をリビングのソファーに投げ捨て、背伸びをする。 広々とした空間、何かを話してもなにも返ってこないその寂しさを、テレビをつけて誤魔化す。 子供のころは、家に誰もいないと、やりたいことがあれば何でもできて、楽しかったが、今は違う。 やってはいけないことができたり、やろうとする意欲が失せてしまったり、そういったことがあってこのように感じてしまうのだろう。 成長すると、得るものもあれば失うものもある、そんなことをいつも通りテレビのバラエティー番組の音で掻き消していると、猫のリュリュが何処からか俺に寄り添ってきた。 「お、おいおい、毛が付くだろ、ヤメロ。 そういえば、まだ着替えてなかったな」 リュリュの毛を払いながらさっさと着替える。 着ていた制服をそこらの床に投げ捨て、ソファーに座ると、猫は俺の膝の上に乗り、丸くなって寝てしまった。 俺は猫より犬派なのだが…どうしてか猫によく懐かれる。 そのおかげか、この元野良猫は直ぐに家に馴染んだから、まぁよかったが。
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