第1奇

9/9
前へ
/9ページ
次へ
家の前に着くと、何やら騒がしい。 明かりもついてないところを見ると、姉ではないようだ。 何かが割れたり、倒れたり、ドタバタと何かが暴れまわっている。 「まさか…空き巣!?」 …と言っても、この家にはそんな高価な物もないが。 ともかく、急いで扉をあけ…… 「ぅぁあぁぁぁぁぁぁ!!」 「うぼっ?!」 …ると、突如俺の腹部に何かが突っ込んできた。 あまり強くはない衝撃だったが、突然のことだったので思わず尻餅をついてしまった。 「いつつ……なんだ?」 顔を上げ、家の玄関を見ると、一匹の白猫が毛を逆立ててこちらに威嚇している。 リュリュだ。 しかし、それは俺に向けたものではないらしい。 「えぅ…っ」 その重圧(といっても微々たるものだが)を一直線に受け、震えながら小さな手で頭を隠し、体を丸め、身を隠している様子のそれは、俺の上に居座っている。 それは…人の形をしていた。 そう、形をしているだけで、人ではない、俺はそう思いたい 人に、猫のような耳も尻尾もあるはずがない。 さらに言うと、他人の家に全裸で上がり込んでいる幼女を、俺は普通の人と思いたくない。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加