アイコラ

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ムンムンと暑く、蝉の大合唱が耳に煩く鳴り響く。 折角の夏休みなのに、アイツは遅刻。 私はイライラとしながら、彼氏を待っていた。 ブブブッ。 赤いカバーを纏ったスマホが震えた。 画面を覗き込むとアイツの名前が表示されている。 「うっそ、まさかまだ時間かかんの?」 額から吹き出す汗をハンドタオルで拭いながら、私はメールを開く。 【From:裕二 件名:恐怖画像 8月19日(木)13:30 わりぃ! まだ時間かかる! って、キレてるでしょ? 本当に悪い! 暑いと思うから、これでも見て熱を冷ましてちょ】 案の定ふざけたメールだった。 スマホを地面に叩きつけてやりたくなる衝動を抑え、私は添付されていた画像を開く。 そこには、仲良くピースをする、5人の男女が写っていた。 真ん中には私と彼氏も肩を組んでおり、馬鹿みたいな笑顔を浮かべている。 「なによ、修学旅行の時の写真じゃ……」 独り言を呟いた私は、言葉が続かなかった。 「これ……うそ……でしょ」 虫がズルズルと這い上がってくるように、全身に鳥肌が立った。 ちょうど彼氏の頭の横。 まるで、人間が逆立ちでもしているかのように、靴を履いていない2本の足が生えていた。 よくよくみると、彼氏と私の間に、長い髪の毛が写り込んでいる。 こんなにクッキリと写り込んでいたなら、気付くはずなのに。 と、思ってから、私はやられたことに気付いた。
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