受信2件

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僕は貴女のメッセージを読んで痺れました。なんと言ったらいいのでしょう。貴女の文面からは優しさ、思い遣り、気遣い、そして匂うような美しさも伝わってきました。本当です。これこそ理想の人だ……と僕は思いました。僕は細心の注意を払い、貴女とメール交換をいたしました。どうでしょうか?僕のことを少し思い出されたでしょうか? 貴女とのメールのやり取りの中で、僕は僕の理想とする僕になれました。かっこ良くて、ちょっと面白くて、仕事をバリバリするナイスガイです。 そして運命の時を迎えました。貴女と会う約束をしたのです。7月7日午後7時。◯◯駅の西口です。ロマンチックでしょう?にくい演出だと悦に入っていたのはどうやら自分だけだったようです。どうですか?思い出されましたか? 何故来られなかったのでしょうか?せめて、言い訳だけでもして欲しかった。恨みがましいようで申し訳ありませんが、その日からプッツリと貴女は僕のメールに返信して下さらなくなりましたね。一体、どういう事情なのでしょう?教えてくれても良かったと自分は思いますが、自分が間違っているのでしょうか? 僕はそれから荒れ狂いました。貴女に罵詈雑言を浴びせてしまいましたね。お前を探し出して必ず犯す、それが俺の生涯の夢だ。必ず夢を実現させる。なんて……怖がらせることを…… 酷いことをメールしてしまったものです。警察に相談されたようですね。当然だと思います。僕は警察の取り調べを受けて、信用と仕事を失いました。仕方のないことです。自分が悪かったんです。僕は深く深く反省しました。本当です。 方法論を反省しました。やり方が良くなかったんだ。とね。僕は一念発起しました。前科がついてしまったので、就職は厳しくなりました。でも、世の中面白いものですね。知人に頼み込み、消費者金融にまで借金して立ち上げた会社がなんと大成功。一発逆転とはこのことです。僕は夢を叶えることができました。ありがとうございました。 PS, 僕は夢を叶えたわけです。今後はどうなろうと構いません。座って読んでますよね?お腹の子供に大事なきよう……
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