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その姿を目で追ってから、今度は子供をあやすキヨにイライラする気持ちをぶつける。
「キヨも知ってたんなら本当のこと教えてくれたってよかっただろ」
「あら、私はヤスから聞かれなかったもの。だから、あえて言わなかっただけよ。
それにモモが誰とどうしようとあんたにとっては関係のなかったことじゃない。
派手に遊んでたし」
「派手なことはしてない。
じゃあ、キヨはどこまで知ってんだよ。全部か?モモが好きだった奴のこととか、妊娠した経緯とか、いなくなった時期のことも……本当は全部知ってて俺のこと笑ってたのか?」
「笑ってなんかないわよ。
モモがいなくなった時には、さすがに馬鹿な男だなとは思ったけど」
「なんで俺が馬鹿なんだよ……」
座るキヨを睨みつけながらそう問いただすと、合わせた視線を外すことなく
キヨは真っ直ぐな目で問いに答えた。
「ヤスにとって、モモは唯一無二の存在だったからよ。
あんたはただの幼馴染としてモモを見ていただろうけどね。
そんなモモがいなくなったってわかって
青白い顔で心配するアンタを見てたら、可哀想って思うよりも馬鹿だなって思うじゃない」
「ひでぇ言われようだな……」
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