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「…………
仕方ないだろ…。
故障したまま飛ばれるよりかは、なんぼかマシだ。
それに、丸一日ここにいたって式には十分間に合う。心配すんな」
『別にヤスの心配なんてしてないわよ。
今からでも他の便に乗り換えできないか手続きしてみたらどうなの?』
「機長が他の機体を用意するよりも待ってる方が早いって言ったんだ。
それを信じて待ってるしかないだろ」
『ふ~ん。
じゃあ、とりあえず飛べるようになったら一度連絡してちょうだい。
メ-ルでもなんでもいいから』
「はいはい。わかったって…。
じゃあ切るぞ。お前ももう仕事始まる時間だろ?早く戻れよ」
『えっ?あら、ヤダ!もうこんな時間!?じゃあ、ヤスまたね!!』
連絡しなさいよ―、と大声を響かせながら途切れた通話。
背もたれに預けていた体を起こし、前屈みになりながら真っ暗な画面にしたスマホを胸ポケットにしまう。
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