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男はいつものように電話をかけていた。
高齢者や個人情報の流出に乗じて、手当り次第に相手を陥れていた。
「もしもし」
「はい」
相手が老人だと分かった瞬間に、その男のスイッチが入る。
「私は銀行の者です。私たち銀行の落ち度で、あなたの個人情報が盗まれまし
た。つきましては、今預金をお預かりしているお客様に連絡を取らせていただい
ていまして」
「それは大変」
「はい。本当に申し訳ありません。お客様方にお掛けするご迷惑を最小限に食い
止めるために、ただいま全力で対処しています」
「それはありがとうございます」
男は老女が何も疑ってないと分かったため、話を進めた。
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