第4話

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 あれから半年が経った。  潤君の怪我も治ってリハビリも無事終了。潤君は今も変わらず商社に勤めてる。  俺は結局他の部署へ移される事になった。それならいっそ転職しようと思った。もともとゲーム開発チームがあったからこそ受けた会社だったから。部署自体が無くなると言うのならもう、未練もない。  俺には新しい人生が必要だったし。  今は別の会社。前のところよりは小さな会社だけど、れっきとしたゲーム会社だ。  前のところよりお給料もだいぶ減っちゃったし、あんな事があって、アパートを解約して実家に戻っていた。でも、それもなんだか心苦しい。  結局、潤君の熱烈な「一緒に住もう」に負けて、現在、潤君のところでお世話になっています。  事の真相は報道された事実。潤君の記憶。俺の記憶。合致しない点ももろもろだけど、それは俺の中では些細な事だった。  夢だと片付けちゃうのは簡単な事だけど。  二人で手を繋ぎ霧の中を歩いた事は現実だと俺は思ってる。  潤君が骨折し、俺は無傷だった。バスから落ちたとき衝撃は感じたけど傷を受けないなんて事ないと思う。  何しろ走行中のバスから飛び降りたんだもの。  俺は潤君と初めてしたのに、痛みを感じていなかった。「それは夢だからでしょ」と思われるかもしれない。でも、俺自身が そのほかの感覚をすごくリアルに体感してたんだ。  夢中になってたのかな? とも思う。  それは、潤君にしても同じなのかもしれない。骨折してても気づかず、痛みよりも生還する事に夢中になっていたんじゃないかって。  ……それに、潤君は入院中もリハビリ中も、自分の事より俺の心配ばかりしてくれてたしね。  大事なのは真相や、経緯なんかじゃない。  お互いの気持ちだって俺は思うから。
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