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潤君の手の平は熱くて、俺の肌の上を這い回った。俺も潤君の舌を追い吸い付いた。お互いが求め合いながらどんどん呼吸が荒々しくなっていく。
俺は完全に興奮してた。きっと潤君も。
ずっと想ってた。学生の時から。
すごく近くて直ぐにでも手が届いた。でも、俺はずっと怖くて手を伸ばすことができなかった。
失ってしまう事を恐れて、手を伸ばせないまま。
俺は潤君を手放したんだ。
潤君のもう片方の手がジーンズの上から形を成しているモノをそっと撫でてきた。
もう、いいと思った。怖がるのはおかしいと。俺の欲しかったものが目の前にある。怖いものなんてもう何もないよ。潤君がいてくれれば何も怖くない。
潤君の背に回した手をグッと引き寄せ更に口づけを深め、必死に舐め回し縋るように舌を絡めた。
ジーンズのジッパーが下ろされ、下着の中に手が潜り込む、カンカンに熱く猛ってる俺のを潤君が優しく手のひらでそっと包んだ。
『好きだよ』
潤君の音のない声が感情となって俺の頭の中に雪崩れ込んでくる。怒涛の感情の波が押し寄せ、胸を熱くする。
初めて交わした会話、笑顔。委員会をエスケープして学校を抜け出し行ったゲーセン。二人っきりで十時間も入り浸ったカラオケ。朝まで遊んだ二人きりのゲーム大会。自転車の二人乗り、一緒にしたバイト、隠れてこそっと吸いあったタバコ。
忘れていた些細な出来事まで、次々に色鮮やかな映像となって、俺の脳に直接送り込まれる。
そうだったね。ずっと二人でいたよね。
潤君との日々を全部思い出す。
熱い、全身が熱い。体の全部。下半身も胸の中も、頭ん中も、目の奥も、頬を伝っていく雫さえ熱かった。
気がついたら俺は寝転がっていた。頭の下には潤君の服。ひんやりと冷たい遊歩道の木の感触が肌を震わせる。足元にはクシャッとなった俺のジーパン。
そして目の前には俺とは逆の姿の潤君……。
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