第4話

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 静かになった。  すごく静か。  俺はふわっとしたものの中に包まれてた。  明るい世界。  潤君は?  俺は瞼を持ち上げた。  知らない殺風景な天井。愛想のない細長い蛍光灯。レールに区切られた狭い空間。 「秀? 秀ちゃん! 看護士さん!」 「お母さん落ち着いて、ナースコール押せばいいのよ」  周りがうるさい。視線をゆっくり大きく動かした。 「母ちゃ……ん? 姉ちゃんも……」  二人が俺を凄く心配そうに覗き込んでいた。知らない看護士さんが現れる。俺の腕を持ち上げ、脈や血圧を測り始めた。 「先生、直ぐにみえますからね? このまま動かないで下さい。気分は? 気持ち悪くないですか?」  体は凄くだるくて重かったけど吐き気はない。ただ少しモヤモヤするだけ。  俺は何も言わないで首を縦に一度だけ小さく振った。  看護士さんが俺の前からいなくなり、母ちゃん達はホッとした表情になって視界から外れた。  顔を左右に動かして確認する。  俺の両サイドはカーテンで囲まれてた。 「……俺……ひとり……なの?」 「え、そう。そうよ?」  涙腺が緩んだのか涙を拭きながら答える母ちゃん。 「……ほんとに?」  姉ちゃんが厳しい顔付きで言った。 「秀、……会社の皆さんは助からなかったの。あんただけ、助かったの。何があったか覚えてる?」 「覚えてる。みんなの事は知ってる。でも、俺は一人じゃなかった。俺はどこにいたの?」 「警察に聞いた話だけど、あんた外に倒れてたそうよ。救急車が旅館へ向かう途中の道路で、倒れてるあんたを発見したって」 「途中?」  嘘だ。俺は湖の見晴らし台にいた。途中なんてあり得ない。
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