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ドローン
「いま俺が爆破したの子供じゃないか?」
俺の隣に座る男に訊いた。
「ああ、たぶん子供だった」と男は答える。
その無機質な答えを聞いて、俺はやるせない気持ちで背後を見た。
すると司令部の上官が、「いや、あれは犬だ」と機械を見るような眼で答えた。
(二本足で立って悲鳴を上げるのが犬だなんて、あんたの眼はどうかしている)
そう心で悪態をつきながら、俺は痛ましい気持ちでコックピットを降りた。
「作戦終了。なお次回のドローン操作はマルロクマルマルである。以上」
(任務ご苦労のねぎらいも無いのかよ)
痺れる頭と麻痺した心を振りながら、俺はフラフラとロッカーに向かった。
「感情を持つのは、この仕事では厳禁だ」
背中で上官の言葉を聞きながら、
(人間が操縦しているんだから、感情があるのは当たり前だ!)
数え切れないほど投げた心の声だが、この部隊の誰にも声は届かない。
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