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ネット情報がこの星を被い、国境の無い発言や国籍の無い主張が拡散しても、まだ紛争の絶えないクソッタレなこの世界──
軍部は無人機による多大な戦果をあげていた。
その正確無比で無機質な攻撃能力は、しばしば噴出する倫理上の反対論をねじ伏せるほどの効果を発揮していたのだ。
そのドローンと称される無人殺傷機械は、理想の兵器としてもてはやされたが、それと同時に現在ある問題に直面していた。
近代戦略に欠かせないドローンは、自律操縦に頼らない遠隔操縦が必要なため、別所からコントロールする必要がある。
だが、遠隔操縦で敵から直接攻撃される危険がないドローンのパイロットは、精神的に大きな被害を受けることが知られるようになった。
爆撃シーンを画面ごしに目の当たりにすることで、多大な精神的なストレスを受ける。
いわゆる「臨床的苦痛」の症状が出るのだ。
緊迫した軍事的任務という「日常」と、画面ごしにそれを眺める「非日常」とが断続的に繰り返されることで、精神のバランスを失い廃人と化すのである。
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