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それでも、それは表向きの軍事作戦だから、まだマシだと言える。
俺の所属するのは、どの軍部にも属さない秘密のドローン部隊だ。
それも、操縦するのが無人機ではなく、生きた人間なのである。
秘密裏に開発された忌みすべき軍事兵器、敵国の人間を操るドローン操人兵器である。
遠隔操縦で人間を操るドローン技術だが、ターゲットの精神波と同調させる特殊な技能を持ったパイロットが必要だった。
その適性を持つパイロットは稀で、そのクソッタレな適性を持っていたのが俺だった。
にもかかわらず、通常のドローンパイロットと同様に、俺も多大な精神的苦痛を腹一杯に抱えていた。
想像してくれ。
罪の無い敵国の人間を、あるときは人間爆弾に仕立て、あるときは同時多発テロを起こさせるのが、どれほどの精神的苦痛かを。
そう、俺が所属する秘密部隊は、テロを裏で煽る戦争仕掛人なのである。
通常のドローンパイロットなら退役もできるが、ドローン操人のパイロットはそれすら許されない。
秘密部隊ゆえに退くのは即、死である。
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