雨が降る七月のことでした。

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結婚が決まったのは、雨が降る五月のことでしたね。 あなたは父の前で緊張のあまり、上手く言葉を発せないようでした。 式場が決まったのは雨が降る六月のことでしたね。 インターネットで、一日中探しましたね。あなたは疲れて途中で寝てしまったけど、でも私は全然怒っていませんよ。翌日、あなたは謝って、私は怒った振りをしただけ。だから、私は怒っていませんよ。 そして、雨が降る七月の今日、式を挙げました。 ずっとあなたのことを好きでいます。 式場に着いた私は、まず彼のご両親に挨拶をした。ご両親は泣いていた。それにつられて、私も泣いた。黒い傘に、雨が滴る。泣き顔を見せまいと、そっと目の前を隠した。 そして、ご両親と共に式に参列した。黒い背広をピンっと引っ張り。私はあなたの寝顔を見て、また泣いた。口を覆い、落ちる涙があなたの顔へ吸い込まれていく。 泣いて、泣いて、その場で私は崩れた。床を叩き、強く拳を握りしめた。 しばらくその場で泣いて、私は立ち上がり、書いた手紙を棺桶に入れた。 「ずっとあなたのことを好きでいます」 棺桶から顔を覗かせる彼は、少し笑った気がした。いや、きっと気のせいだろう。私は、俯いていた顔を上げて、振り返った。 歩き出そうと、足を上げた瞬間 「ずっと君のことを好きでいます」 後ろから、そう聞こえた気がした。いや、きっとこれも気のせいだろう。 ただ、降り注いでいた雨はさらに強くなり、式場の中を雨音で覆った。 そして私は、また手紙を書くことにした。次に、あなたに会った時のために。 あなたに会って、また泣くために。 私が再び歩き出したのは、雨が降る七月のことでした。 終
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