第一章・ーながれてー

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 ーーはっとして目が覚めた。  覚めるというより、今までとじていた目をあけただけに近いような気もする。  夢を見ていたのだ。今まで、何かに追われる夢を。  自分のベッドで寝ているかと思いきや、何故か立った状態で、しかもここがどこかは分からない。  ……どこだ?  暗闇で分からないのだが、恐らく狭そうなので仕方なく目線だけで辺りを見回してみると、辛うじてここがトイレだという事を理解する。  ……何故だろう。ここにいる意味が分からない。そして、トイレにナニかが落ちている。  ナニかは分からないのだが、汚物だと気持ちが悪いため、取り敢えず流してみる事にした。  ごぼごぼと音を立て、無事に流れてくれたので、安堵して個室から出ようとする。  ーー開かない。  どうやっても、開かない。  どうやら私は、トイレの個室に閉じ込められているようだ。  仕方なく、立ち尽くす。何となく、疲れている気がするからだ。  息を吐くと……ぼたり。
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