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そのメールは、『携帯電話のアドレス』から送られていた。
クリニックへ診察に来た患者なら、悩みを聞いて薬を出してやれば、たいていは満足して帰っていく。
とくに若い女なんかは、俺が見つめるだけで悩みなんてほとんど忘れてしまうから楽なものだ。
だがクリニックに来ないで、こうしてメールで相談をしてくる奴が時々いる。
そんな金にもならない奴はスルーするか適当にあしらうのだけれど、さすがにこのメールはヤバいと思った。
もし本当に人でも殺されたら、メールを読んだ俺まで非難されかねない。
なぜ止めなかったのか、と。
俺は、パソコンの画面に向かって慎重に文字を打った。
この男の文章から、「ある可能性」を感じたからだ。
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